患者の希望に沿った診療姿勢が評判、
1日200名が訪れる人気クリニックへ

子どもの誕生を機に故郷横浜での開業を決意

2007年4月、東急田園都市線鷺沼駅から徒歩１分という好立地に、鷺沼整形外科クリニックがオープンした。開設者は、北海道大学医学部卒業後、道内の労災病院や市立病院で地域医療に専念してきた、古梶正洋院長。

開業のきっかけは、生まれた子どもの教育環境を考えてのことだ。神奈川県横浜市で育った古梶院長は、「子どもも自分と同じような教育環境のなかで育ててあげたい」と、北海道から故郷の横浜へ戻ることを決意。また、当時、勤務医としてやりがいは大きかったものの、度重なる当直に体力的な限界も感じ始めていたときでもあった。

開業にあたっては、開業する5年前から計画的に準備を進めた。「メディットさんには、インターネットでその存在を知り、学会で東京に出るついでにアポイントを取り担当者を紹介してもらいました。ある程度、候補地も決めていたので具体的な診療圏調査もしてもらいました」と古梶院長は振り返る。

その後、北海道から昭和大学横浜市北部病院に入職し、地元での足場を固めた上で、いよいよ開業へ。ただし、当初考えていた候補地での開業は、適当な土地やテナントがないため断念せざるを得なかったという。「そんななか、偶然にも今のテナントが空くことを知り、メディットさんのサポートを得てようやく開業へとこぎ着つくことができたのです」

患者の年齢や状況に合わせできる限り希望に応じる

現在の開業地には、もともと道路を挟んだ向かいに内科、耳鼻咽喉科、眼科、歯科が入る医療モールがあった。開業地の大きな決め手は、その医療モールが成功していたため。同様にここも医療モールになれば、患者が集まるだろうという予感はあった。

「実際、当院に加え脳神経外科、皮膚科が同じ建物内に開業したことで、駅前に大学病院の外来部門が集約したような格好となり、相乗効果で患者が集まるという各クリニックにとって嬉しい結果をもたらしています。患者さんからも、たとえば火曜日の午前に内科を受診するから、ここの予約はその日の午後にしてほしいと言われることも多いです。1日で複数の科を受診できるため、患者さんにとってもメリットは大きいですね」（古梶院長）

予測どおり、開業当初から外来患者数50名という好スタートを切った同院では、現在200名前後の患者数を維持。もちろん、その理由は恵まれた立地のためだけではない。

「当院の治療方針は、なるべく患者さんの希望に沿って治療してあげること」と、古梶院長は話す。「たとえば、クラブ活動をする学生が、腰が痛いと訴えてくるとします。通常であれば安静にさせて、お薬を出して治すところですが、当院では、彼が試合に出たいと希望するなら、試合に出してあげながら、なおかつ痛みを取るよう努めます。年齢や置かれている状況によって、患者さんの希望は違うもの。それをいかに実現させてあげるかが、当院の診療方針であり、医師としてのやりがいにもなっています」。

現在は、地域のリトルリーグに所属する子たちも多く訪れる。こうした古梶院長の診療方針こそ、患者が集まる何よりの理由だ。

大学病院との連携体制も患者の大きな安心に

現在、古梶院長は週1回、昭和大学横浜市北部病院で外来を担当する。「何かあれば大学病院をすぐに紹介してもらえる」という安心感も、増患の大きなポイントのようだ。また、階下で開業する脳外科に依頼すれば、MRI検査もすぐに実施可能だ。「速やかに診断をつけ、必要であれば速やかに大学病院へ送る。これこそ開業医の使命ですから」と古梶院長は話す。

一方、今後は患者増に伴いいかに予約患者の待ち時間を減らすかが課題だが、当面は診療受付時間を広げ、患者の分散化を図っていきたいという。
開業から３年半。改めて古梶院長に開業して良かった点について振り返ってもらった。

「まずは当直がなくなり、身体がとても楽になりました。ごくあたり前のことですが、子どもの運動会にも出られ家族も喜んでくれています。あとは、何より自分が理想とする医療ができていること、これに尽きますね」