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Case Study & Interview

過酷な医療現場に募る疲労感
「もっと患者と向き合う医療がしたい」
と開業を決意

ながしま脳神経・頭痛クリニック長島 正 院長

  • 脳神経外科
  • 内科

過酷な医療現場に募る疲労感「もっと患者と向き合う医療がしたい」と開業を決意

国分寺駅から車で10分。東京都小平市の住宅街にある「ながしま脳神経・頭痛クリニック」には、口コミや、ホームページを見たという患者が連日多く訪れる。開院から約一年半。この間の新患数は約4,000人、そのうち半数近くが頭痛の相談であった。

ここの院長を務めるのが、長島正医師。東京大学医学部を卒業後、同大学医学部脳神経外科医局長等を経て、帝京大学医学部附属市原病院の脳神経外科教授として臨床と教育に携わった。開業を決意したのは、定年まで10年を残した55歳のときだ。

島根県の無医村に近い田舎で育った長島医師は、学生のころから患者一人ひとりを丁寧に診る臨床医になろうと決意。しかし、大学病院に所属し、年齢や経験を積み重ねていくなかで望外にも管理職という立場に立つことになり、気が付くと当初の理想像とはかけ離れていく自分がいた。「50歳を過ぎてこれから先の人生を意識したとき、このままでいいのかな?と、ふと疑問が湧くようになったのです」と長島医師は話す。

一方で、医療体制への疑問もあった。世間の医療に対する過剰な期待、訴訟リスク、勤務医の過重労働...。大学附属病院という、過酷な医療現場の真っ只中で勤務するなかで、なんのために医師になったのかと逡巡する時間も多くなっていた。「そういう意味で、一部は"立ち去り型サボタージュ"という側面も否定できませんが、もっと患者さんと一対一で向き合い、感謝してもらえるような医療がしたい、そう強く思うようになったのです。」

患者数は現在一日40名前後、脳ドックの利用者数も安定

こうして、長島医師は開業を決意するも、まず「誰に何を相談してよいかも分からなかった」と、振り返る。とりあえず開業のノウハウ本を手にするものの、読めば読むほど、自分ひとりの力では到底開業にこぎつけられるはずがないと痛感するだけだった。「開業コンサルトに相談することも考えましたが、多くのコンサルトの中から誰を何の基準で選ぶのか全く分りません。そこで、信頼している後輩がちょうど開業直後だったこともあり、見学がてら相談しにいったのです。そこで勧められたのがメディットでした」

早速、帰宅してから「メディット」をインターネットで検索し、連絡。もともと埼玉に土地があったことから、そこでの開業が成功するかどうか、相談に乗ってもらうことにしたのだ。「場所は浦和の郊外にあり、これから発展していく街だし、脳外科としてもともと郊外型の施設を考えていたので、私自身は大丈夫と思っていたのです。ところが、診療圏調査をしてもらったところ、比較的若い世代が多い街で、患者さんの対象となる年齢層が薄いことが分かって...」

さらに自宅から一時間ほどかかることからも、現実的に開業は厳しいことが判明。振り出しに戻ったと肩を落としかけたところに、メディットから提案されたのが、小平や立川といった自宅から近い物件だった。そのうちの一つに決りかけたものの、オーナーの都合で白紙になるなど、紆余曲折を経て、最終的に紹介されたのが、現在の物件だった。「もともとはオーナーさんの古い家が建っていたのですが、オーナーさんが隣接地に自宅を新築し、あいた土地に新しいテナントを作るということでした。完全にそのころには腹が決っていましたね。住民の年齢層も高いようですし、なにより自宅に近い。それに都立府中病院や公立昭和病院、杏林大学といった近隣病院の脳神経外科は全て、東大の医局仲間が部長をしている。病診連携も取りやすいとあって、立地的には何の不安もありませんでした」

患者数は現在一日40名前後、脳ドックの利用者数も安定

次なる課題が、資金繰りだった。脳ドックのために必須となるMRIを導入するとなると、それだけで莫大に膨れ上がることは目に見えていた。「ここでも開業した同僚に相談して、価格交渉の大切さを教えてもらいました。信頼できる経験者からそういった情報を仕入れていくことも開業には不可欠です」最終的に開業にかかった総額は運転資金も含め、約1億5000万円。うち半分は、自己資金と、国民生活金融公庫からの借り入れで賄った。結局MRIなどの機材をメディットからリースで導入することで、初期費用を相当抑えることができた。

なお、広告も重要と考え、開業直前の新聞チラシや、近隣住宅へのポスティング、また国分寺と小平駅に看板を設置。そのほか、業者に依頼したホームページは高い集患力を発揮しているという。現在、月々に必要な主な経費は、家賃や水道光熱費、機器リース代、人件費など。特に人件費は正職員3名(臨床検査技師)、パート5名(事務および看護師)を雇用するなど、より良い医療を提供するために不可欠なものと考え充実させている。

当初のシミュレーションでは患者数は一桁からのスタートだったものの、開業してみると、一日20名前後の患者が安定して来院した。現在患者数は一日40名前後となっており、うち新患も10名以上の日が多い。

週に一日半だけ時間を設けて行う「脳ドック」も好評で、開院当初は月に30人近くが訪れたほど。現在は月10〜15名で安定しており、自由診療だけに経営的にも随分助けられているという。開院から一年半。経営は徐々に軌道にのっており、なかでも頭痛の相談は若い女性の間に口コミで広がり、周辺市からも患者が訪れる。MRIを導入していることから近隣のクリニックとの診診連携も順調で、現在は週に10件前後の紹介状がくるという。

改めて長島院長にこの一年半を振り返ってもらった。

「夢から始まった開業を現実のものにすることが出来た今、たいへんに満足しています。そして、この夢の実現に多大なご支援をいただいたメディットと辛抱強く相談に乗り支え続けていただいた担当者の方に心から感謝をしています。肉体的な忙しさはそれほど変わりませんが、精神的なストレスが激減しました。もちろん、経営的な問題はありますが、それは自分の力で一つひとつ解決していけますしね。」

開業して手に入れた新たな人生。これからは医師として理想とする医療を出来る限り長く続けながら、残りの人生を家族と有意義に過ごしていくことが、長島医師の希望だ。

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