開業するってこんなコト
クリニックを取り巻く環境
クリニック市場をマクロ的に分析すると、これから開業を目指すドクターにとっては順風満帆とは言い難い環境です。
1.医療保険制度、診療報酬体系の見直し
国家財政における社会保障費の増加により診療報酬には下げの圧力がかかっています。
2.医療供給体制の見直し
休日・夜間診療をクリニックが担う時代に変わり始めています。
3.都心への人口集中と地方の過疎化による居住地の大きな変動
急速な少子高齢化・人口減少の進展に伴い、一部の都市部を除き、人口は減少傾向にあります。
4.開業のトレンド
都市部ではクリニック開設数が飽和状態に近づき、患者獲得競争の激化により、特徴なきクリニックが淘汰される事態も予想されます。
厳しい経営環境が予測されるからこそ、十分な調査・検討を重ね、実現性の高い事業計画を策定し、確実に開業準備を進める必要があるでしょう。
まずやるべきこと
開業を思い立ったらまずやるべき事
私たちがお手伝いしてきたドクターからお話を聞いても開業を思い立った理由は「家族」、「医局」、「労働環境」と本当に様々です。しかし、この段階ではまた「開業」を憧れのような存在に捉えているに過ぎません。今後10年以上に渡ってクリニックを経営していくという長い道のりを考えた場合、開業に憧れを持つだけではその道のりを歩んでいくのに不十分です。
開業を思い立ったら「なぜ開業をしたいのか」、「どのようなクリニックを作っていきたいのか」というコンセプトを明確にすべきです。そしてそのコンセプトを目標として突き詰めていくことが安定した開業準備と開業後の経営につながっていきます。

コンセプトが果たす役割
開業準備を進めていく中で、又、クリニック経営を行っていく中でドクターは様々な決断を迫られますが、コンセプトが唯一の判断基準となります。これは求められる決断の優劣が評価しにくいケースがほとんどだからです。
例えばクリニックの名称をどのようなものにするかという点を考えると、何れの名称をつけたとしても間違いであるとはいえません。しかしコンセプトに合致しているかという基準を設けることで判断がしやすくなります。
コンセプトがなければ判断に迷いが生じるだけではなく、それぞれの判断がばらばらになりかねません。
開業に関わる業務
開業のために必要な業務は多岐にわたりますが、主だったものを挙げると以下のようなものがあります。
主な業務 | 内容 |
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立地調査、診療圏調査、将来性の予測、継承物件の検討 |
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投資金額の決定、収支の想定、損益計算書・キャッシュフロー表の作成 |
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調達方法の検討、調達先の選定、金融機関への相談・申込・面談等 |
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建物本体工事との調整、設計・内装業者の選定、保健所への事前確認 |
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機器の選定・発注、内装業者との調整、納入スケジュールの調整、操作指導 |
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人員計画の策定、就業時間・時給等の検討、各種規定の作成、求人広告、面接・採用、雇用契約 |
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リーフレット・チラシ等の検討、看板・サインの検討、ホームページの作成、SEO対策 |
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会計処理 |
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開設届、保険医療機関指定申請、各種公費申請、消防関連 |
メディットでは、多種多様な物件情報を有しています
開業スケジュール

開業についてよくある質問
Q1.運転資金はいくら用意すれば良いですか?
A1.一般的な内科の場合、3,500万円程度用意するほうがいいでしょう。
運転資金は、事業経費に加え先生ご自身の生活費も見積る必要があり、これらの支出を含めた収支が黒字になるまでの間の必要資金になります。但し、診療内容・借入条件等によって必要額は様々です。不測の事態による開業後の運転資金追加申込みは、金融機関に対し非常に悪い印象を与え、融資許可が下りない可能性も高いです。当初から極力多めに手当てし、余剰が発生する都度一部繰り上げ償還を行う選択を取ることがよいでしょう。
⇒開業に必要な費用について
Q2.医院開業準備にかかった費用は経費にできますか?
A2.できます。医院開業に関する準備費用であれば経費になります。開業前は申告できませんが、医院開業準備中に使ったお金を経費として申告できます。開業を決断した時点から、領収書・レシートは基本的に全てとっておくといいでしょう。
Q3.医療機器はリースと割賦どちらがいいのでしょうか?
A3.経済耐用年数を勘案して選択するのが良いでしょう。電子カルテやCR装置など5~7年程度で買い替えが想定されるものはリース、レントゲン装置など長期で使用するものについては割賦、のように選定します。リースのメリットとしては、リース料には固定資産税・動産総合保険が含まれていますので費用の一本化ができ、また支払リース料が費用計上でき(賃貸借処理の場合)ますので費用の平準化がはかれます。
⇒各種リース
Q4.スタッフの募集・選定方法は?
A4.一般的な募集方法として新聞折り込みチラシ、求人情報誌、求人サイト、ハローワーク等を利用します。募集方法によってはコストや効果の程度などそれぞれ特徴がございます。また、地域によっても異なります。ただし、近年看護師などコ・メディカルの人員確保は厳しい状況にあり、場合によっては派遣・人材紹介業者へ依頼することも多くなっております。選定については、履歴書からの書類審査、面接を行います。
Q5.開業の宣伝はどのようにしたらいいのでしょうか?
A5.医療機関の宣伝については医療法にて規制がございます。広告可能な媒体は限られていますが、一般的には新聞折り込みチラシ、ポスティングチラシ、電柱広告、駅看板、ホームページなどが挙げられます。媒体によっては表現方法が決められていますので注意が必要です。また、スタッフの求人広告なども宣伝の媒体になります。
Q6.医師会には必ず入会する必要ありますか?
A6.医師会の入会は自由です。但し、小児科における予防接種ワクチンなど医師会を通じて割り振りされるものもあり、医師会入会の有無により経営に影響するケースもあります。