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外来医師多数区域とは

「外来医師多数区域」新ルールを詳しく解説

2020年から「外来医師多数区域」に開業する医療関係者に対して、新しいルールが適用される見込みとなりました。しかし、まだこのルールについて詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、「外来医師多数区域」の意味を解説し、新ルールの概要やルールが必要になった背景を紹介します。現在、クリニックの新規開業を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

外来医師多数区域とは?

各都道府県には、健康管理や疾病予防、入院治療など日常的に発生する疾病に対する医療サービスを提供する「二次医療圏」という区域があります。「外来医師多数区域」とは、この二次医療圏の中でも外来を担うドクターが多いとされる区域を指します。これには、厚生労働省が定めた「外来医師偏在指標」に基づいて算出された区域のうち、上位33.3%が該当します。

2019年10月現在、発表されている「外来医師偏在指標」は精査中のものであり、最終確定はこれからとなります。暫定的に発表されている指標については、後ほど解説します。

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どんな地域が含まれている?

ここでは「外来医師多数区域」に含まれる地域を解説します。「第30回医師需給分科会」で発表された「外来医師偏在指標(精査中)」をもとに、該当する地域をグラフで表しました。上位20位までの地域は以下のとおりです。

外来医師偏在指数
※参考:第7回 医療従事者の需給に関する検討会:別添資料8

暫定指標を参考とした場合、1都3県では以下の地域が該当します。

  • 東京都:23区(区東部地区の一部除く)、北多摩南部など
  • 千葉県:千葉、安房地域など
  • 埼玉県:西部、利根、県央など
  • 神奈川県:川崎南部、横浜、横須賀・三浦など

また、近畿エリアで該当する主な地域は以下のとおりです。

  • 京都府:京都・乙訓、山城南など
  • 奈良県:奈良、西和など
  • 兵庫県:神戸、阪神、東播磨など
  • 大阪府:大阪、南河内、三島など

外来医師多数区域を取り巻く現状

現在の外来医療では、入院施設のない無床診療所が都市部に集中していたり、医療機関同士の連携や医療機器の共同利用などが、個々の医療機関の自主判断に託されている状況です。また、近年では訪問診療や高齢者の救急搬送の件数が増加しており、在宅医療の重要性が指摘されています。

これにより、地域の初期救急医療やグループ診療、医療機関の連携の必要性が訴えられていますが、外来医師が偏在する地域では、必要とされる医療機能が不足しているのが現実です。こうした状況から、今後、外来医師多数区域で新規に開業する医療関係者については、夜間や休日の救急医療、在宅医療、予防接種や産業医など、地域で求められている医療機能を担うことが求められるといわれています。

外来医師偏在指標とは

「外来医師偏在指標」とは、地域ごとの外来医師の少数区域と多数区域を把握するための指標です。これには既にある「医師偏在指標」と同様の考え方が用いられており、診療所の医師数を性別と年齢で区分したうえで、平均労働時間の違いを用いて数値に表しています。また、人口10万人当たりの医師数をベースとして、地域ごとに性別や年齢階級による外来の受療率の違いを調整しています。

外来医師偏在指標の計算式、および外来医師偏在指数の算出に用いられる数値のための計算式は以下の通りです。

外来医師偏在指数 標準化診療所医師数÷(地域の人口÷10万×地域の標準化受療率比)×地域の診療所の外来患者対応割合
標準化診療所医師数 Σ性・年齢階級別医師数×(性・年齢階級別平均労働時間÷全医師の平均労働時間)
地域の標準化外来受療率比 地域の外来期待受療率÷全国の外来期待受療率
地域の期待外来受療率 Σ(全国の性・年齢階級別外来受療率×地域の性・年齢階級別人口)÷地域の人口
地域の診療所の
外来患者対応割合
地域の診療所の外来延べ患者数÷地域の診療所と病院の外来延べ患者数

外来医療の偏在対策のコンセプトは?

外来医療の偏在問題については、3つのコンセプトに基づいた対策が進められています。ここではコンセプトの内容を解説します。

外来医療機能に関する情報の可視化

1つ目のコンセプトは、外来医療機能の偏在や不足などに関する情報の可視化です。外来医師偏在指標によって、地域ごとに見られる医師の偏り度合いを客観的に把握できるようになります。これにより、外来に携わるドクターが、自分の地域と他の地域とを比較し、診療所が多いのか少ないのかという判断が可能になります。

一方で、単純に診療所数だけを提示するのでは非現実的ではないか、という意見もあります。たとえば診療料金や疾患別といった、開業判断に資する情報についても精緻化の必要性が問われています。しかし、情報の精緻化に関しては、すでに限界があるという見方もあります。これについては今後の課題といえるでしょう。

新規開業者等への情報提供

2つ目のコンセプトは、新しく開業する予定の医療関係者などに対し、自主的な経営判断を行うために有益となる情報を提供することです。これについては、どのように情報提供していくかが問われています。

対応案には、既にある「新たな医師偏在指標」を参考に外来医師多数区域を設定する、その情報を都道府県へ提供する、外来医師多数区域の設定については都道府県のホームページ上で周知するなど、さまざまな意見が上がっています。いずれにしても、新規開業を希望する医療関係者などが簡単にアクセスできる工夫が求められています。

外来医療に関する協議の場の設置

3つ目のコンセプトは、外来医療に関する協議の場の設定です。この場では「可視化する情報の内容の協議」や「地域での機能分化・連帯方針等の協議」が行われる予定です。

「可視化する情報の内容の協議」では、可視化する情報の内容に関して地域の医療関係者などが事前に協議し、より有益な情報とすることが目的となっています。

「地域での機能分化・連帯方針等の協議」は、外来機能や、外来機能に関する外来医療機関間の機能分化、連携の方針などについて地域で医療関係者と協議を行い、地域ごとに方針を決定できるようにすることを目的としています。

2020年度から「外来医師多数区域」での開業に適用が見込まれる新ルール

外来医療の偏在是正に向けた新ルールは、2020年4月から新規に開業する診療所に適用される見込みです。これに向けて、厚生労働省では外来医師偏在指標や外来医師多数区域を用いたガイドラインを策定します。このガイドラインをもとに、各都道府県で外来医療についての医療計画が作成されます。

地域医療への貢献が求められる

新しいルールでは外来医師多数区域で開業するドクターに対して、新規開業の届け出に在宅医療や初期救急医療などを行うといった「地域医療に貢献することへの合意」の記載が求められる予定です。合意できない場合は、前述した「外来医療に関する協議の場」への出席を要請するといった案が提示されています。

この協議の場においては、既に設置されている「地域医療構想調整会議」を活用することを可能としたり、地域町村単位での協議が必要という場合には「ワーキンググループ」を設置したりすることが提案されています。

ただし、憲法で保障されている営業の自由との関係性や、ルール適用直前の駆け込み開業増加のおそれといった懸念の声があることも事実です。いまだ議論の余地を出ない新ルールですが、これから開業しようとしているドクターには都市部だけではなく、地域医療構想を踏まえた開業計画が求められています。

まとめ

外来医療の偏在問題に対しては、現在、3つのコンセプトに基づいた対策が進められています。これにより、2020年から外来医師多数区域で開業には新しいルールの適用が予定されています。開業を検討しているドクターの中には、詳細が未定である新ルールに対して不安を覚える方もいらっしゃるでしょう。安心して開業計画を進めたい方は、開業支援のプロに相談することをおすすめします。

メディットは、開業支援実績が35年間で1,400件の実績を持つという強みがあるほか、クリニックの企画や運営も行っています。クリニックの開業にお悩みのドクターは、ぜひ一度メディットへご相談ください。

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