少ない資金・低リスクで開業したい

継承開業のメリット・デメリット
次に一般的な新規開業と比べた場合に、継承開業のメリットとデメリットを見ていきたいと思います。

メリット
メリット
デメリット
デメリット
・地域に認知されている
・一定数の見込患者が確保されている
・実績をもとに事業計画がたてやすい
・当初から収入が見込め運転資金が少なくて済む
・医療機器や内装設備などのイニシャルコストが少なくて済む
・有資格者(看護師等)の職員を引継ぐことができる
・陳腐化、老朽化した設備は入替が必要
・患者が自分の診療スタイルに馴染まない
暖簾(のれん)代が必要となる
・法人を継承する場合、医療過誤など見えないリスクがある

一般的な新規開業に比べ、当初から患者数が見込めることから経営面での不安が少ないというのが一番大きなメリットと言えそうです。一方で前任ドクターと比較されたり、設備面の古さなど気分的なやり難さがデメリットと言えそうです。
次項では、一番のメリットである「経営面」について、財務面(売上や、投資額、借入額など)を比較しながら、見ていきたいと思います。

継承開業と新規開業の財務面での比較
本件は、都内にて約10年ほど診療を行っていた内科クリニックを継承したケースです。駅前のテナントビルに入居し、患者数は1日あたり約50名程度と盛業していたクリニックです。
一方、新規開業のケースは、同規模のクリニックの開業を当社でシミュレーションした数値です。

継承開業と新規開業の財務面での比較

継承した初年度の売上高は5,500万円、税引前利益は3,000万円と、初年度から黒字となっています。
一方、新規開業の初年度は売上高3,200万円に対し、経費が3,700万円と売上を上回り▲500万円の赤字となっています。

継承前のクリニックの売上高は約6,500万円、税引前利益は2,800万円程度でしたので、本件は順調に立上がったケースと言えそうです。当然ながら全てが本件の様にうまくいくケースばかりではありませんが、新規開業に比べると立ち上がりの速さから、安心感があると言われるのも頷けますね。
安心感と言う意味では、多額の借金をするよりは少ない方がより安心できると思います。次項では投資額や借入額の比較を見ていきたいと思います。

【投資額の比較】
投資額の比較

継承のケースでは総投資額が4,400万円、新規のケースに比べ約半分の投資額となっています。内装や医療機器が1/4程度で済んでいる点が一番大きなポイントかと思います。また、本ケースでは暖簾(のれん)代が1,000万円以下で済んだこともあり、メリットが出ています。

【借入額の比較】
借入額の比較

借入額(リース含む)についても継承のケースでは、新規の約半分となっていますので、心理的な不安は和らぐ結果となっています。
ただし、先にも述べましたが本ケースは暖簾(のれん)代が小額で済んだケースです。売上規模によっては暖簾(のれん)代が数千万~億になるケースもあります。その場合には継承前の収支状況からその投資額が妥当か否かの判断が必要になりますので、より慎重な判断が必要になります。