ららぽーと内のクリニックで 地域住民へのプライマリケアを実践

カテゴリー:
診察科目:
内科 ,小児科 ,皮膚科

研究に没頭するうちに現場の第一線が恋しくなった

JR武蔵野線新三郷駅は、近年、「ららぽーと」をはじめコストコ、IKEAなど話題の商業施設が新設され、休日ともなると家族連れや若者でにぎわう新スポットとして注目されている。

2009年9月、新三郷駅から直結する「ららぽーと」内に「ららぽーと新三郷内科・小児科」が開業した。開設者は、大学時代の同級生で、医局時代も共に過ごしてきた小倉武彦医師と土方康義医師。

卒業後、小倉医師は大学に残り研究を主体に活動する一方、土方医師はJALの産業医として、職員の健康管理に従事してきた。お互い充実した時期を送っていたものの、患者の治療に深く関われる職場ではなかったため、「だんだん現場の第一線が恋しくなった」(小倉医師)というのが、そもそもの開業の動機。

小倉医師も土方医師も開業するなら一緒にと、医局時代から志を同じくしていたことから、仕事がひと段落したうえで満を持しての開業となった。

院長 土方康義医師 副院長 小倉武彦医師

院長 土方康義医師/副院長 小倉武彦医師


ららぽーと内のテナントを紹介されトントン拍子に開業準備が進む

クリニック入口

クリニック入口

開業にあたってはメディットに開業支援を依頼したが、開業地については小倉医師たちも独自で探し回ったという。競合がひしめく都心での開業はリスクが高いため、候補地でこだわったのは、競合相手がそれほど多くない下町で、しかも駅前という点。しかし、条件にあう物件にはなかなか巡り合わず、そのなかでメディットから最初に紹介されたのが、ららぽーと新三郷内のテナントだった。

「周辺地域の様子などを自分たちでもリサーチしたところ、ここならなんとか行けそうだと、トントン拍子で話が進みました。決め手は、駅前で、周囲に大きな団地が控えていること。小児科の利用者層と住民層がうまくマッチしていると考えました」(小倉医師)
一方、もし紹介物件が、ららぽーと内の奥側のテナントだったとしたら、患者が買い物客の人ごみを掻きわけて来院するのは厳しいため、決して選択しなかったという。

「実際に紹介されたのは、施設の入り口に最も近いテナントでした。入口に近ければ、買い物客の目につきやすいため認知度アップにつながりますし、患者さんも人ごみのなかを来院せずにすみます。最初は都内で探そうとしていたので、自分たちだけではきっと探しきれなかった物件ですね」と小倉医師は言う。


開業直後から1カ月1000名強と安定した患者数を維持

こうして、9ヵ月の準備を経てオープンした「ららぽーと新三郷内科・小児科」は、地域住民のかかりつけ医になることを目ざし、子どもから高齢者まで、幅広い年齢層にプライマリケアを実践している。また、2人とも循環器内科が専門のため、生活習慣病や循環器疾患については専門性の高い診療が行えるのが特徴だ。

現在、診療は無休で行っており、平日は交代で休みを取り、週末は2人で診療にあたる。患者の受診経緯は、口コミのほか、買い物で通りがかったという理由で来院するケースも多く、やはり買い物時に自然とクリニックの看板を目にすることが、一番の宣伝効果になっているようだ。

患者数は、開院直後は1ヵ月で延べ1000人強を記録。インフルエンザが落ち着いた今も、月1000名程度で安定し、開院当初から高い水準で患者数をキープしているという。現在は小児科や皮膚科のニーズが多くを占めているが、それでも日・祝以外は20時まで診療を行っているため、最近は会社帰りのサラリーマンが来院するケース増えてきたという。

診察室

診察室


今後の目標はメタボ世代の受診を増やすこと

待ち合い

待ち合い

運営が軌道にのるなか、今後の目標は、働く父親世代へのアプローチだ。「ららぽーとは若い母親世代のお客さんが多いため小児科の認知度は広まったのですが、メタボの認知度はまだまだ低いのが現状です。当院では家族全員のかかりつけ医になることが目標ですので、今後はもっと内科のほうにも力を入れて診療を行っていければ」と、小倉医師。

循環器内科を専門とする2人にとって、コレステロールや血圧管理など、メタボリックシンドロームの診療はもっとも得意とする分野。欲を言えばメタボやメタボ予備軍の中年男性にももっと受診してもらいたいという。

「開業したからには、どんな疾患にも対応できるかかりつけ医になることが目標ですので。もちろん、そのなかで、循環器疾患があれば専門性をもって、他院に紹介せずともここで診られるという強みはあります。でも、それでは大学病院とやることは同じですし、診断がついて、治療内容が決まっているケースを見ているだけでは、医師の醍醐味がありませんから」と、小倉医師はきっぱり話す。

開業から1年。診療の全責任を自分たちで負わなくてはならなくなったいま、小倉医師には、子どもの顔が浮かび心配になって、安心して寝ていられない日々が続くという。

「でも、開業したからこそ思う通りの診療ができる。自分たちの希望がやっと叶ったので、これからも地域住民、家族全員のかかりつけ医になれるよう地域医療に専念していきたいです」と、今後の抱負を語ってくれた。